Photo by © Österreich Werbung / Harald Eisenberger
ウィーン & オーストリアの冬の風物詩と言えば、何をおいてもまず クリスマスマーケット ですね。
コロナの影響で開催中止となった2020年、厳しい制限付きで開催された2021年を乗り越えて、2022年からは再び制限なしのクリスマスマーケットが開催されています!
10月の最終日曜日にサマータイムが終わり 夕暮れが一気に早まると、すでに晩秋を通り越して初冬の様相を見せ始めるウィーン。
のんびりしているとあっという間に辺りが暗くなって、「…寒くて暗い、長い冬が始まるな…」と若干重い気持ちで覚悟を決めるのですが、そんな重い気持ちを一気に吹き飛ばして 冬の到来を楽しみにさえしてくれるのが、クリスマスマーケットです。
厚い灰色の雲に覆われ 太陽もほとんど顔を出さず、瞬く間に夕暮れ時となる暗く寒い冬の季節。
クリスマスマーケットのキラキラと煌めく まばゆい装飾とプンシュ(Punsch – 果汁と香辛料などを混ぜた 温めて飲むアルコール飲料です)は、一瞬 冬の厳しさを忘れさせてくれます。
11月に入ると 早くも お店にはクリスマスグッズが並び始め(2024年現在、既に10月初旬から並び始めました!年々早くなるような…)、クリスマスムードが高まってくるウィーンですが、クリスマスマーケットも“クリスマス期間限定”という訳ではなく、11月中旬から始まるところが多いです。
以前はクリスマス・イブ前日に終わってしまうクリスマスマーケットが多かった記憶があって、“クリスマスマーケットなのに、本当のクリスマスにないのはちょっと寂しいなぁ…”と思ったりしたものですが、今は 大き目の(観光客が多い)クリスマスマーケットだと、クリスマス開けの26日、あるいは年末年始まで開催しているところも多くなってきました。
こうなってくると逆に、“屋台の人、クリスマスなのに家族と過ごす時間あるのかな…”と心配になってきますが…💦
ではでは、前置きが長くなりましたが、ウィーンのクリスマスマーケット情報を 下に詳しくご紹介していきたいと思います。
クリスマスマーケットに外せない要チェックの飲み物、食べ物、グッズについても触れていますので、開催日程と併せてご確認ください。
独断(と偏見?)が入っているかもしれませんが、あしからず…。笑
ウィーン の 2大クリスマスマーケット
ウィーン市が“2大クリスマスマーケット”として紹介している訳ではありませんが、“ウィーンの2大クリスマスマーケット教えて!”と尋ねたら、まぁ誰に聞いても この2つのマーケットを答えるのではないでしょうか。
両者それぞれ趣の異なるクリスマスマーケットですが、クリスマスマーケットがもたらし得る感動の度合いが最大級に振り切れている“夢と魔法の”マーケット🤩
他の追随を許さない ウィーン クリスマスマーケット界の絶対王者ですね。
ウィーン市庁舎前広場のクリスマスマーケット
ウィーンのクリスマスマーケットを紹介して!と言われたら、100人中99人が、まず最初に挙げるクリスマスマーケットです。
華やかさが振り切れていて、あのまばゆさには 心を奪われます。
地元の人で ちょっとこだわりの強い人だと、「あそこは観光客用だから好きじゃない」なんて言う人もいたりしましたが、2022年からは趣がずいぶんと変わりました。
以前は、“観光客用の安物しか扱っていないようなキッチュ(まがいもの・俗悪なもの)なマーケット”と批判する声なんかもあって、私自身も「まぁ、そういう側面もなくはないかも」と思ったりもしていたのですが、2022年からは出店店舗も大きく減り(150店舗 → 100店舗へ)、より落ち着いた、昔ながらのクリスマスらしい雰囲気をしみじみ味わえるようなクリスマスマーケットに変貌してきているように感じます。
美しく素朴な手工芸品やハンドメイドのクリスマス飾りなども所狭しと並べられ、余すところなく飾られた まばゆいばかりのイルミネーションも、キッチュではなくゴージャスそのもの。ウィーンの本気を感じます。
市庁舎前に立つ 高さ30メートルほどにもなる巨大なクリスマスツリーは、毎年オーストリア国内で厳選され運ばれてきた Fichte(トウヒ属と呼ばれる針葉樹林)の木。
樹齢は150年にも上り、“ウィーン市庁舎前のクリスマスマーケットに地元の木が選ばれる”というのは、各地方の誇りともなっているそう。
クリスマスマーケットの楽しみと言えば、屋台で売られているクリスマスの飾りを見て回ったり、温かなプンシュや揚げたてのランゴシュ(揚げパン)を食べながら友人と談笑したり…ですが、こちらでは150を超える多彩な屋台 2022年からは約100店舗ほどの屋台が 訪れる人を楽しませてくれます。
★ 2022年追記 ★
以前は150を超える屋台が出店していましたが、2022年はその数を減らし、約100の屋台が出店されています。
主催者が代わり、出店店舗もより厳選されたようです。
飲食系の各屋台には、<販売する飲食物の30%は必ずオーガニック製品にすること>というルールが決められたそうで、これでいくと、クリスマスマーケットで売られているすべての Punsch(プンシュ)や Glühwein(グリューワイン)がオーガニックになるだろう…と予測されているとのこと。
こういう改革があったためかと思うのですが、今年は華やかな中にも趣のある、“観光客向け”というよりは より一層伝統的な香りが感じられるクリスマスマーケットになっていたように思いました。
屋台の数が2/3に減った分、スペースにも余裕ができて、以前は前に進めないほどの人混みで大変なことになっていたのが、今年は比較的ゆったりと楽しめました。
屋台も“キッチュ”と言われそうなものが、ほとんどなくなっていたように思います。
敷地に余裕ができた所には、ゴージャスな2階建てのメリーゴーラウンド(2回建てのメリーゴーラウンドって初めて見ました!)が建てられ、子供たちの行列ができていました。SNS映えもしそうで、新しいマーケットの名物になりそうですね!
子供さんが喜びそうなメリーゴーラウンド、観覧車、列車などのアトラクション、またトイレも敷地内に2か所3か所設置されていますので、事前にウェブサイトでマップを確認しておくと いざという時に迷わず安心ですね。
マーケットの背景には、絵のように美しいネオゴシック様式の壮麗な市庁舎がそびえ立ち、ウィーンらしい華やかなクリスマスマーケットです。
アイススケートリンク も併設!
こちらのクリスマスマーケットにはアイススケートリンクが併設されています。
その広さ、なんと3000㎡!
美しいイルミネーションで装飾された、都会の中心とは思えないような緑豊かな小道をアイススケートで滑ることもできますので、「アイススケート、できるよ!」って方はぜひ訪ねてみてください。
シューズはレンタルできます。
また、オンラインで事前にチケットを買っておくと、10%割引きになります。
ただ、うっかり気を抜いて(気を抜かなくても、倒れることはありますが…)、頭を氷に打ちつけたりすると大変なことになりますので(私の同僚がそうでした…)、行かれる方は十分お気をつけくださいね!
Wiener Christkindlmarkt am Rathausplatz(直訳: ウィーン市庁舎前広場の幼児キリストのマーケット)
住所: | Rathausplatz, 1010 Vienna |
Web: | Wiener Christkindlmarkt |
開催期間: | 2024年11月15日(金)~12月26日(木) |
営業時間: | 10:00~22:00 *12月24日(火): 10:00~18:30 |
アクセス: | 路面電車 1, 71, D, U2Z(停留所:Rathaus/Burgtheater) 路面電車 2(停留所:Parlament) 【注意!】 金曜日・土曜日の 15:00~22:30 まで、利用者の増加による混乱を回避するため、 路面電車 1, 71, D, U2Z は 停留所:Rathaus/Burgtheater に停車せず 通過してしまうそうです。 その場合は、この停留所の前後、Parlament か Schottentor を利用しましょう。 こちらの停留所からも徒歩で5分程度、それほど遠くはありません。 |
シェーンブルン宮殿のクリスマスマーケット
ウィーン随一の観光名所、言わずと知れたシェーンブルン宮殿の前庭で開催されるクリスマスマーケットです。
ライトアップされた“シェーンブルン・イエロー”と呼ばれる暖かな黄色い宮殿を背景に、電飾が品よく施された巨大なクリスマスツリーを囲んで、80以上 70以上 約90の屋台が立ち並びます。
マーケットの正式名称を「Kultur- und Weihnachtsmarkt(文化とクリスマスのマーケット)」と銘打つほどですので、キッチュな物はとことん排除して、伝統的な工芸品、ガラス細工、木彫りの飾り、陶磁器、セラミックやブリキの人形、街中で見かけるものとは一味違った こだわりのあるおもちゃなど、どの屋台の前でも足が止まってしまうほど 夢のように美しい雑貨や装飾品の数々が並んでいます。
1994年から2023年にかけて、「Kultur- und Weihnachtsmarkt(文化とクリスマスのマーケット)」との名称で開催されていましたが、2024年からは運営組織が一新され、まったく新しい趣のクリスマスマーケットになるそうです!
シェーンブルン宮殿のクリスマスマーケットというと、隣り合ってずらりと並んだ屋台が特徴的でしたが、新しいマーケットは屋台があちこちに散りばめられたようなデザインになるよう…。
なんだか、小さなクリスマス村を歩いているような雰囲気になるのでは…と楽しみにしています。
アイススケート、カーリング、観覧車、メリーゴーラウンド、こども列車など、新しいアトラクションに加えて(アトラクションといっても、たぶんアンティーク&ヴィンテージな雰囲気になると予想…)、お子様向けに飼い葉の遊び場、多彩なワークショップ、(子供用プンシュのための)子供用マグカップなど、小さなお子様連れご家族により優しいマーケットとなるようです。
雑貨や装飾品の屋台だけではなく、他のマーケット同様、プンシュや温かな軽食の屋台ももちろん用意されています。
ウィーンの中心(旧市街)から少しだけ離れる分(と言っても 地下鉄でほんの6駅ですが)、ウィーンの中心で開催されるクリスマスマーケットに比べ 混雑具合が緩やかな印象があります。
敷地が広々としているというのもあるかと思いますが。
ウィーンの中心で開催されるクリスマスマーケットは、特にクリスマスが迫った週末の夕方以降など、「もうこれダメ!無理!今日は絶対無理っ!!」みたいな大変な混み方をしますが 笑、シェーンブルン宮殿のマーケットでは そこまで押し合いへし合いになる感じがしません(まぁ日にちと時間によっては、押し合いへし合いになることもありますが…)。
敷地が広く、人・人・人でひしめき合ってもおらず、また シェーンブルン宮殿は元々ハプスブルク家が夏の間 避暑のために過ごした“夏の離宮”だったというぐらいですので、中心のマーケットを歩いている時に比べ 体感温度が2-3度低いような感じがします。
大して寒くない日なら別にいいんですが、もし相当寒い日に訪ねることになった場合、さすが“夏の離宮”、寒さが半端ないです。
ですので、ぜひできるだけ暖かくしてお出かけくださいね。
“ぎりぎりクリスマスに間に合わなかった…!”という方でも大丈夫。
こちらのマーケットはクリスマス以降も、2025年1月6日(月) まで開催されています。
オーストリアらしい新年のラッキーグッズなども並べられ(るはず – 2023年まではそうでした)ですので、“クリスマスに間に合わなかった…”と落胆されることなく、クリスマスを過ぎた後のマーケットも訪ねてみてくださいね。
なお、シェーンブルン宮殿自体は365日年中無休。
閉館時間は17時ですが、クリスマス・年末年始を問わず見学することができますので、マーケットを回られる前にちょっと宮殿を見て…というプランでも素敵ですね。
派手なイルミネーションで飾り立てられていない分、本来のオーストリアらしい伝統的なクリスマスの雰囲気を味わえるかと思います。
(無宗教でも)キリストの降誕に思いを馳せたくなるような、荘厳で落ち着いたムードのクリスマスマーケットです。
Weihnachtsmarkt Schloß Schönbrunn(直訳: シェーンブルン宮殿のクリスマスマーケット)
住所: | Schönbrunner Schloßstraße 47, 1130 Wien |
Web: | www.weihnachtsmarkt-schoenbrunn.at |
開催期間: | 2024年11月8日(金)~2025年1月6日(月) |
営業時間: | 10:00~21:00(曜日問わず) *12月24日(火): 10:00~16:00 *12月25日(水)~1月6日(月): 10:00~19:00 |
アクセス: | 地下鉄 U4(Schönbrunn 駅下車 徒歩5分) 路面電車 10, 49, 52, 60(停留所:Schloss Schönbrunn) バス 10A(停留所: Schloss Schönbrunn) |
観光の合間にふらっと立ち寄れるクリスマスマーケット
上記の2大クリスマスマーケット以外にも、ウィーンでは数多くのクリスマスマーケットが開催されています。
「えっ!?今年はここでもっ!??」というほど、年々数が増えていく印象があるのですが(まぁそんなに毎年毎年増えてないとは思いますが 笑)そんな、
- 新しいクリスマスマーケット
- 2大マーケットほどの知名度はなくても、地元の人に愛されているクリスマスマーケット
- 美しい観光スポットで開催されるクリスマスマーケット
など、ウィーンの中心(旧市街)近くで開催される、観光の合間にも立ち寄りやすいクリスマスマーケットをいくつかご紹介しますね。
シュテファン大聖堂前広場のクリスマスマーケット
これ以上は望めないというほどの立地条件、ウィーンのど真ん中に立つクリスマスマーケットです。
ウィーンに来て訪れない人はいないだろうという旧市街の中心、ウィーンのランドマークであるシュテファン大聖堂前の広場で2013年に初めて開催され、出店する屋台の数も当初に比べるとずいぶん多く、賑やかになりました。現在の出店数は40ほど。
何しろバックにそびえるのが あのシュテファン大聖堂ですからね、雰囲気は抜群。
荘厳この上ない大聖堂の前に、大聖堂の塔と重なり合うようにそびえるきらびやかなクリスマスツリー、オーストリア国内各地から集められたクリスマスらしい工芸品・特産品の屋台が広場を彩り、もう何年も前からあたり前にそこにあったかのように、ウィーンらしいクリスマスを演出してくれています。
シュテファン大聖堂は、ウィーン旧市街の目抜き通り ケルントナー通り と グラーベン(共に歩行者天国)を結ぶ場所にそびえ立っていますが、クリスマスのこの時期、ここら辺一体は息を呑むほど美しいクリスマスイルミネーションで彩られます。
夕暮れ時から夜にかけて、幻想的な空間へと変身する旧市街をゆっくりと見て回りながら、ふらりと立ち寄れるのが嬉しいクリスマスマーケットです。
Weihnachtsdorf Stephansplatz(直訳: シュテファン広場のクリスマス村)
住所: | Stephansplatz 1, 1010 Wien |
Web: | www.weihnachtsdorf.at (英語ページあり) |
開催期間: | 2024年11月8日(金)~12月26日(木) |
営業時間: | 11:00~21:00(曜日問わず) *12月24日(火): 11:00~16:00 *12月25日(水)・26日(木): 11:00~19:00 |
アクセス: | 地下鉄 U1, U3(Stephansplatz 駅下車すぐ) |
カール教会前広場のクリスマスマーケット
地下鉄 Karlplatz駅ほど近くにあるカール教会。
ウィーン旧市街の目抜き通り ケルントナー通り の南端、国立オペラ座のある駅で、ウィーンに来られた方で“この駅 使わなかった”という方もいないのでは。
地下鉄3 2本、路面電車・バスも合計10本近くが乗り入れているウィーン旧市街の最主要駅ですが、駅と接するように広がっている レッセルパーク(Resselpark)南東に立つ教会がカール教会。
緑のドーム屋根と左右対称に立つ巨大な円柱が印象的な、美しい白亜の教会です。
クリスマスマーケットは毎年、このカール教会前に広がる レッセルパーク内 で開催され、シェーンブルン宮殿のクリスマスマーケットと同じく、80ほどの屋台が並びます。
マーケットの正式名称は ART ADVENT am Karlsplatz(アート・アドヴェント)。
毎年、厳選された地元アーティストによる一点物の手工芸品が集められ、提供される屋台の軽食・飲み物もオーガニック製品という、こだわりの強いクリスマスマーケットです。
他のクリスマスマーケット同様、音楽プログラム、子供向けプログラムも充実していますし、アーティストが作品を創り出す様子を目の前で見せてくれるブース、キリストが誕生したとされる厩(馬小屋)のイメージで作られた飼い葉の遊び場など、一味違ったプログラムも用意されています。
飼い葉の遊び場なんて 普通体験できないですもんね。子供さんに大人気です(雨で濡れていると微妙ですが…笑)。
当初、“私には通過ぎるだろうなぁ…”とあまり足が向かなかったマーケットなのですが、地元の人に誘われると、いつも必ず(たまたまかもしれませんが)こちらのカール教会のマーケットでした。
それだけ地元の人にも人気の高いクリスマスマーケットなのでしょうね。
その分やはり混雑具合も激しいですので、クリスマスが近づいた週末の夕方以降などは、できれば避けた方が無難かもしれません。
クリスマスマーケットって、総じて昼間の時間は空いていますが、きららかなクリスマスマーケットが本領を発揮するのはやはり夕暮れ時以降ですよね…。
ですので私は、若干無理をしてでも、周囲が薄暗くなってから訪れたい派 ですが…。笑
※ このカール教会ですが、旅行案内には“カールス教会”と表記されていることが多いかと思います。
私自身、カールス教会と呼んでいますし。笑
ただ この“ス”って、単なるつなぎの“ス”なんですよね。
つまり“カールの教会”。
カールス教会にだけ“ス”を付けてしまうと、例えば上にも挙げたランドマーク・シュテファン大聖堂も、シュテファン“ス”大聖堂と書かないと釣り合いが取れないということになり、同ページ内に“ス”ありと“ス”なしが同居しているのは 若干気持ちが悪いので、ここでは敢えて“カール教会”としました。
どうでもいいですが…。笑
Art Advent am Karlsplatz(直訳: カール広場の アート・アドヴェント)
住所: | Karlsplatz, 1040 Wien |
Web: | divinaart.at (英語ページあり) |
開催期間: | 2024年11月15日(金)~12月23日(月) |
営業時間: | 12:00~20:00 |
アクセス: | 地下鉄 U1, 路面電車 1, 2, D, 62, 71(停留所: Karlsplatz または Oper Karlsplatz) バス: 4A, 2A, 59A(停留所: Karlsplatz または Oper Karlsplatz) |
マリア・テレジア広場のクリスマスマーケット
双子のような姿で並んで立つ 美術史美術館と自然史博物館にはさまれたマリア・テレジア広場で開催されるクリスマスマーケットです。
ブリューゲルが描いた「バベルの塔」などは、きっと誰もが一度は目にしたことのある(なぜなら教科書に載っているから 笑)印象深い絵画ですよね。
それ、あります。笑
すぐ側に、一番上でご紹介しているウィーン・クリスマスマーケット界の絶対王者「ウィーン市庁舎前広場のクリスマスマーケット」が立っていますので、こちらのマリア・テレジア広場のマーケットだけ見て(日本に)帰る…というのは ちょっと残念な感じがしますが、美術史美術館で絵画を鑑賞した後に(あるいは自然史博物館で恐竜の骨を鑑賞した後に 笑)立ち寄ってみる、というのも素敵ですね。
クリスマスを過ぎた後も、引き続き12月31日まで開催されていますので、“クリスマスを逃してしまった!”という方でも楽しめます。
有名なマリア・テレジア像を囲むように70ほどの屋台が立ち並び、その左右には鏡のように同じ姿で向かい立つネオ・ルネッサンス様式の美しい美術館と博物館、少し顔を上げれば壮大な新王宮と凱旋門、さらにはシュテファン大聖堂の尖塔まで見渡せ、かつての大帝国の威容を感じさせてくれるクリスマスマーケットです。
Weihnachtsdorf Maria-Theresien-Platz(直訳: マリア・テレジア広場のクリスマス村)
住所: | Maria-Theresien-Platz, 1010 Wien |
Web: | www.weihnachtsdorf.at (英語ページあり) |
開催期間: | 2024年11月13日(水)~12月31日(火) |
営業時間: | 日~木: 11:00~21:00 金・土: 11:00~22:00 *12月24日(火): 11:00~16:00 *12月25日(水)~30日(月): 11:00~19:00 *12月31日(火): 11:00~18:00 |
アクセス: | 地下鉄 地下鉄 路面電車 D, 1, 2, 71, U2Z(停留所: Ring/Volkstheater または Burgring) |
フライウング広場のクリスマスマーケット
何年か前までは、ウィーン旧市街にある行きやすいクリスマスマーケットとして大きく紹介され、「ここはマスト!絶対行って!」的な印象があったフライウング広場のクリスマスマーケットですが、最近どういう訳か 観光客に向けた大々的な宣伝をあまり目にしなくなった気がします。
クリスマスマーケット自体の数も増え、それぞれが成長し 有名になってきたというのもあるかと思うのですが、もう一つの要因として 出店される屋台の内容にも寄るのかなぁと勝手に思ったりもしています。
他のクリスマスマーケットが、本当にクリスマスの時期にしかお目にかかれない この時期ならではの飾りや手工芸品などを多く取りそろえているのに比べ、こちらのマーケットはクリスマス以外のシーズンでも扱えそうな、ろうそくであったりせっけんであったりアクセサリーであったり…、そんなオーストリア各地から厳選して集められた高品質の美しい“実用的な”名産品・特産物の数々が、60近くに上る屋台に所狭しと並べられています。
なので、日本人が想像しやすいように言ってみると、ちょっとデパートの物産展みたいな感じかな と思いました。
普段はなかなかお目にかかれない各地の名産品や特産物が手軽に手に入るという訳で、そんな楽しみも、地元の人を惹きつけてやまない理由かと思います。
飲食系屋台で扱われるのは すべてオーガニック製品というのも高品質へのこだわりを感じますね。
クリスマスに ハンドメイドの“実用品”をプレゼントしたい…なんていう場合にも、良いものが見つかりそうです。
「これ、ハイジが使ってたじゃん!」というような、ヤギのミルクを飲むのに最適な 木のボウルなんかもありました。笑
シュテファン大聖堂や国立オペラ座などの観光名所からも行きやすく、ウィーンの古き良き時代そのままの街並みを背景に、柔らかな白い光で浮かび上がるクリスマスマーケット。
でこぼことした石畳の道を踏みしめながら、オーストリアらしい昔ながらの落ち着いた雰囲気をしっとりと味わえる ちょっと大人なクリスマスマーケットです。
…と言いつつ、子供さん向けプログラムもとても充実しています。
ちなみに、この広場のすぐお隣り、アム・ホーフ広場にもアーティスティックな色彩の強いクリスマスマーケットが立ちます。
“各地の名物”という訳で、飲食系の屋台も地元の人たちで賑わっています。
Altwiener Christkindlmarkt(直訳: 古きウィーンの幼児キリストのマーケット)
住所: | Freyung, 1010 Wien |
Web: | altwiener-markt.at (英語ページなし) |
開催期間: | 2024年11月15日(金)~12月23日(月) |
営業時間: | 10:00~21:00(曜日問わず) |
アクセス: | 地下鉄 U3(Herrengasse 駅下車 徒歩2分) 地下鉄 U1(Stephansplatz 駅下車 徒歩7分) 地下鉄 U2(Schottentor 駅下車 徒歩5分) |
Weihnachtsmarkt Am Hof(直訳:アム・ホーフのクリスマスマーケット)
住所: | Am Hof, 1010 Wien |
Web: | www.weihnachtsmarkt-hof.at (英語ページなし) |
開催期間: | 2024年11月15日(金)~12月23日(月) |
営業時間: | 月~木: 11:00~21:00(軽食は22:00まで) 金・土・日・祝日: 10:00~21:00(軽食は22:00まで) |
アクセス: | 地下鉄 U3(Herrengasse 駅下車 徒歩2分) 地下鉄 U1(Stephansplatz 駅下車 徒歩5分) 地下鉄 U2(Schottentor 駅下車 徒歩7分) |
ベルヴェデーレ宮殿のクリスマスマーケット
ベルヴェデーレ宮殿は、ウィーン国立オペラ座前から路面電車に乗り 10分程度の距離にあります。
”10分”というとちょっと遠く感じるかもしれませんが、路面電車なので“道端からぱぱっと乗って降りてすぐ”という感じで距離は感じません。
宮殿であり美術館でもあるという このベルヴェデーレ宮殿は、クリムトの名画「接吻」を所蔵している美術館として有名ですね。
ベルヴェデーレ宮殿は 南北に長い庭園内にあり、“上宮”・“下宮”と2つの宮殿が建てられています。
「接吻」が展示されているのは上宮の方。いわゆる“ベルヴェデーレ宮殿”として紹介される方ですね。エメラルドグリーンの屋根がとりわけメルヘンチックな白亜の宮殿です。
シェーンブルン宮殿とはまた違った趣で、より可憐で繊細、優雅な中にも暖かみがあり、マリー・アントワネット も一時期を過ごしています。
上宮は高台に立っていますので、美術館入口側(南側)の庭園からはウィーンの街を一望できますが、クリスマスマーケットが立つのはこちらの宮殿南側ではなく、宮殿の北側。
バロック様式で造られた大きな池に、マーケットのイルミネーションと白亜の宮殿が鏡のように水面に映り、幻想的な雰囲気を醸し出すクリスマスマーケットです。
旧市街からほんの少し離れる分 観光客も少なめで、地元の人と共に楽しめる、落ち着いた雰囲気のクリスマスマーケットと言えるかもしれませんね。
美術館で絵画を鑑賞した後に立ち寄ってプンシュを一杯…というのも素敵ですし、“地元の人が楽しむように楽しみたい”という方って意外と多いですので、そんな方にもお勧めなクリスマスマーケットです。
他のクリスマスマーケット同様、音楽プログラムや子供さん向けプログラムも用意されています。
クリスマスを過ぎた後も、12月31日まで営業しています。
Weihnachtsdorf Schloss Belvedere(直訳: ベルヴェデーレ宮殿のクリスマス村)
住所: | Prinz Eugen-Straße 27, 1030 Wien |
Web: | www.weihnachtsdorf.at (英語ページあり) |
開催期間: | 2024年11月15日(金)~12月31(火) |
営業時間: | 月~金: 11:00~21:00 土・日: 10:00~21:00 *12月24日(火): 11:00~16:00 *12月25日(水)~ 30日(月): 11:00~19:00 *12月31日(火): 11:00~18:00 |
アクセス: | 地下鉄:U1 Südtiroler Platz/Hauptbahnhof で下車、路面電車 18, O に乗り換え(停留所: Quartier Belvedere) 路面電車 1(工事の影響で11月途中まで運行予定)、D(停留所: Schloss Belvedere) 路面電車 1(工事の影響で11月途中まで運行予定)、18, O(停留所: Quartier Belvedere) |
屋台を楽しもう!クリスマスマーケットならでは“オーストリアの味” と ヨーロピアンなクリスマスオーナメント
プンシュ (Punsch) とグリューヴァイン (Glühwein)
クリスマスマーケットになくてはならない この時期ならではの飲み物といえば、プンシュとグリューヴァイン。
寒い冬空の下、ゆらゆらと湯気の上がるマグカップを手に家族・友人と談笑…というのは、クリスマスマーケットに欠かせない光景ですね。
両方とも、シナモン・クローブなどの香辛料や果汁をたっぷりと加え、砂糖で甘くした温かなアルコール飲料です。
香辛料と砂糖がたっぷり入った温かなアルコール…、いかにも体をポカポカと温めてくれそうで、寒い冬にぴったりなのがわかります。
グリューヴァインは名前に“ヴァイン(Wein ワイン)”と付いているぐらいで、ベースとなるアルコールがワインであることが多いです。
一方、プンシュのベースとなるのは主に“ラム酒”や“お茶”であると言われますので、そこが大きく違うと言えば違うのですが、
「うちのプンシュのレシピは 白ワインがベースだ!」なんていう人もいたり(それはさすがにグリューヴァインでしょ !とつっこみたくなりますが 笑)、
「お茶!?お茶を入れるなんて聞いたこともない!」なんていう人もいたりして、オーストリア人につっこんで聞いてみても、その違いがあまりよくわかっていなかったりします。
とにかく、クリスマスマーケットで飲む、香辛料の効いた甘く温かい、フルーツフレーバーのお酒 という感じですね。
アルコール度数としては 5%~10% ぐらい。
ビールよりは高く ワインよりは低めという感じで、種類にもよりますが、プンシュの方が若干アルコール度が高め、また甘さも強めという印象があります。
また、プンシュの方が種類が多いですね。
基本のプンシュにフルーツフレーバーで風味をつけ、中には“レッドブル・プンシュ”なんていうのもあったりして、屋台で数十種類以上売られていたりします。
私は実は強い香辛料の味が若干苦手で、シナモンやクローブがたっぷり入っていたりすると食事のスピードが落ちるのですが 笑、もし同じような方がいらっしゃったら、そしてなおかつ “アルコール抜きでもいい”という方でしたら、キンダープンシュ(Kinderpunsch)がお勧めです。
キンダープンシュは“子供用プンシュ”という意味で アルコールが入っておらず、また 香辛料の強さもマイルドになっていますので、アルコールが飲めない方、また強い香辛料がちょっと苦手…という方でも、おいしくいただけるかと思います。
プンシュであってもグリューヴァインであっても、こういった子供用の場合はジュースをベースに作られます。
ベリー系がたっぷり入ったベリープンシュ Beerenpunsch、サクランボの入ったサクランボプンシュ Kirschpunsch など、果物の果肉がまるっと入ったプンシュもあります。
そんな場合は、マグカップと一緒にもらえる付属のスプーンで、果肉をすくいながら食べつつ飲む という感じになりますね。
プンシュやグリューヴァイン一杯の値段は、だいたい3.5~4.5ユーロ(約400円~500円)5~6ユーロ ぐらい(2022年以降は物価上昇と円安の影響でえぐい値段になっていますが…)。
これに加え、マグカップの保証金 2~4ユーロ ほどが追加で請求され、一瞬「え、一杯1000円もするの !??」と焦ることと思いますが ご心配なく。
飲み終えた後、屋台にマグカップを返却することで、保証金は戻ってきます。
このマグカップは、各クリスマスマーケットごとにデザインが異なり(デザインは毎年変わります) どれも可愛らしいので、“自宅用に”と持ち帰る人も多いです。
自分が飲んだマグカップをそのまま持ち帰ることもできますが(その場合はもちろん、保証金は戻りませんが)、屋台では新品のものも売られていますので、どちらかというと新品を持ち帰られた方がよいでしょうね。
私が今年(←最初にこの記事をUPした2019年当時の話)狙っているのは、シュテファン大聖堂前広場クリスマスマーケットのマグカップ。
これが例年 長靴型でとってもかわいいんです!
ただ、長靴型は洗うのが大変なので、最終的にはペン立てとかになりそうです。笑
オーナメントと間違えるほど可愛らしいレープクーヘン
オーストリアでは、“クリスマスにはケーキ”ではなく、クッキーを焼く家庭が多いのですが、このレープクーヘンもそんなクッキーの一種。
上のプンシュ同様、シナモンやクローブなどの香辛料を効かせた ほんのり甘い独特な味わいのクッキーです。
クッキーではあるんですが、それが人の顔ほどの大きさがあったり、アイシングで 装飾品のように美しいデザインが施されていたり、しかもそれが、屋台の天井から色とりどりのかわいらしいリボンで吊り下げられて売られているので、私これ長いこと、装飾品だと思っていたんですよね。
あ、クリスマスツリーに下げるのねぇ、みたいな…。笑
でも違いましたね、これは飾るものではなく、食べるもの(飾りの要素ももちろんありますが!)。
食べられて一瞬でなくなってしまうのに この凝りよう…一体なぜ…と思うのですが、それは レープクーヘンが日持ちするお菓子だから。
密封して温度がそれほど上がらない場所に飾っておけば、1ヶ月ほどもつと言われています。
飾って楽しむのが前提なお菓子な訳ですね。
ですので、かわいらしいちょっと大き目のレープクーヘンを買って、クリスマスまで壁にかけておいてもかわいいですし、“大好きなおじいちゃんへ”や“Ich liebe dich(I love you)”など、素敵なメッセージが書かれているので、ちょっとしたプレゼントにしても 喜ばれそうです。
ただこれ、割れると一瞬で悲しい見た目になりますので、そこだけ十分お気をつけくださいね!
ヨーロピアンな香り漂うクリスマスオーナメント
レープクーヘンはかわいいけれど、ずっと取っておけるものではないし…という訳で、やはりクリスマスマーケットの私的 醍醐味は、日本では手に入らないような 息を呑むほど美しいクリスマスオーナメントの数々が 簡単に手に入る、というところですね。
マーケットに並ぶクリスマスオーナメントって、文字通り夢のような美しさで、所狭しと並べられた可愛らしい装飾品の数々を前に、屋台ごとに足が止まってしまいます。
そんな屋台の中でも、ボール型オーナメントを扱っているお店なんかは 一層目を引きますね。
一つ一つ美しく絵付けされたオーナメントが、“お店の人、いますか~?”というぐらい 後ろが見えないほどたくさん吊り下げられて、「どうにか一つだけ持って帰れないだろうか…」と、100人中100人の旅行者の方が思うんじゃないでしょうかね。笑
ボール型オーナメントは、本来はクリスマスツリーに飾るものですが、日本の家庭用クリスマスツリーに飾ると ちょっと傾きそうです。笑
なにせ大きいですし、ガラス製なのでそれなりに重さがありますし。
そんな場合は、一点物のように天井や鴨居などに吊り下げておくと、クリスマスマーケットの思い出が偲ばれて 素敵ですね。
お値段はだいたい 1つ15ユーロ(約1800円)ほど~というところでしょうか。
ボール型オーナメントはガラス製で繊細ですので“要機内持ち込み”でしょうけど、木製やブリキのオーナメントは持ち運びも簡単、クリスマスをモチーフにしたかわいらしいデザインのものが これでもかというほどたくさん並べられていますので、ちょっと大事な人、あるいは子供さんへのお土産などにもお勧めです。
ヨーロッパの香り漂う、この時期だけのちょっと“特別”なお土産に、皆さん喜ばれることと思います。
おわりに
当記事では厳選7選(“すぐ隣りに立つマーケット”というのを合わせると合計8選)のクリスマスマーケットをご紹介しましたが、ウィーンにはまだ、こちらでは紹介し切れていないマーケットがあります。
こちらのオーストリア政府観光局のサイト(日本語)には、ウィーンだけにとどまらず、オーストリア全国のメジャーなクリスマスマーケットが紹介されていますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
既にウィーン暮らしが長く、「クリスマスマーケットなんて ほぼ全部把握してるわ」という方には、こちらの meinbezirk.at のサイト(2024年版/ドイツ語)が参考になります。
各区で開催される(たぶんほぼ全ての)クリスマスマーケットが紹介されています。
その数なんと 50 以上!
2022年からは、ウィーン西駅にある Ikea の屋上なんかでも開催されています!
ご近所にクリスマスマーケットを見つけたら、ふらっと立ち寄ってみるのも楽しいですね
クリスマスマーケットは、オーストリアの冬に欠かすことのできない楽しいイベントですが、一点 楽しくない点を挙げるとすれば、それは スリ! スリです!
とにかく混雑する場合が多いですし、他の楽しいことに夢中になっている人が多いので、もうスリにとってはこたえられない稼ぎ場所、それがクリスマスマーケットです。
ここでお財布やらパスポートやらをすられてしまうと、楽しいイベントが一転、暗黒そのものの思い出になってしまいますので、これだけは本当に どんなに注意してもし過ぎるということはありませんので、どうかお気をつけください!
バッグの口は必ず閉めて、前に抱えて持つ!
これだけを常に注意していれば、すられることはありませんので。
また、11月~12月のイベントということで、気温は日本の真冬並み、というかそれ以上です。
半端ない寒さになる日もありますので、マーケットを心ゆくまで楽しめますよう、帽子・マフラー・手袋と完全防寒スタイルでお出かけくださいね!
それでは、皆さんが楽しい時間を過ごされますように…♪