「ヨーロッパの水道水は硬水だから、お肌が〇〇〇、お腹が×××…。」などと、よく言われますよね。
でも、“硬水”ってそもそも何なのでしょう…。
そこで、ドイツ・オーストリアの水道水を究め、仲良くつきあっていくための第1弾として、
硬水と水の硬度、
各地域の硬度の調べ方、
自分がいる地域の硬度情報が とりあえず最初に必要になる場面
についてまとめてみました!
水道水は問題なく飲めます!
ドイツ・オーストリアは水道水は問題なく飲めます。
水道水として利用されている水のほとんどが地下水由来なので、微生物・雑菌も少なめ。
それもあって、ドイツでは基本的には水の塩素消毒はされていませんし(※)、オーストリアでも水道水中の残留塩素は<1L に 0.1~0.2mgまで>と規定されています。
※大雨が続いた後など、土の浄化作用が追いつかなくなり、地下水に雑菌が繁殖してしまった場合に限り、<1L に 0.3mgまで塩素使用可>となっています。
日本の場合、ドイツやオーストリアのように塩素使用量の<上限>ではなく、<下限>が定められていて、これが<1L に 0.1mg以上>。
これは、日本の水道水が、ドイツ・オーストリアなどの<地下水>由来ではなく、川やダム湖などの<地表水>由来であるため。
地表水は、地下水に比べると細菌に汚染されていることが多く、そのため塩素の濃度を濃くすることで、厳格な水質管理がなされています。
ただ、塩素の濃度が高いと、明らかに味やにおいが悪くなりますよね…。
なので日本では、水がおいしく飲めるための目標値として、<1L に 1mgまで>に抑えるよう推奨はされてはいるのですが、
水源の汚染具合によってはこの濃度を超えてしまうことも結構あって、そのため日本ではほぼ全国、水道水に塩素臭を感じます。
なので、私が最初こちらに来た頃は、「何、水おいしすぎ!水道からミネラルウォーターが出てくる!」と一人感激してました。^^
ちなみにドイツ・オーストリアでは、オゾン処理や紫外線照射で水道水の消毒をしています。
“硬度”を知るのが大事!
当初は塩素臭のしない水道水に感動していた私ですが、やはり次第に気になってくるのが<硬水>のために起きる様々な問題。
<水に溶けているカルシウム・マグネシウムの量が多い = 硬度が高い>となって、硬い水=硬水と呼ばれます。
ちなみに、日本のような硬度の低い水は、軟らかい水=軟水。
石灰質などのミネラルを多く含む地層を長い時間かけて通ってくる地下水の硬度は高く、また日本のように、地中での水の滞留時間や川が短めな場合、硬度は低めになります。
硬水・軟水の定義は国によって様々ですが、ドイツ・オーストリア・日本・WHOで紹介されている基準は以下のようになっています。
WHOが紹介している基準で見ると、日本は<軟水~中間>、
ウィーンは<硬水>、
デュッセルドルフは<超硬水>となっています。
自分がいる地域の水道水の硬度はネットで、
<Wasserhärte(水の硬度)>と<調べたい都市名>
と入れれば出てくるので、滞在先・旅行先の硬度をあらかじめ調べておくのもいいですね!
ちなみに、今私が住んでいるウィーンの水道水は…、
ウィーンの水道水の硬度は 約6°~11°dh となっていて、日本だと<中間>に分類され、ドイツ・オーストリアの基準では<軟水~中間>、WHOで紹介されている基準では<硬水>となっています。
ウィーンは、硬水!硬水!と大騒ぎするほど とりたてて値が高いという訳ではないです。
(2区・3区・11区・20区・21区・22区の一部地域では、地下水が供給源となる場合、硬度が高くなる<6°~16°>可能性もあります。)
硬度の単位は…
ここでは、硬度の単位をすべてドイツ硬度<dh>に換算して書いていますが、現在日本ではアメリカ硬度<ppm>が使われています。
ドイツ硬度とアメリカ硬度の関係は、
1dh = 17.8ppm (mg)
1mg/L (ppm) = 約0.056dH
となっています。
なので、
日本の硬度の平均値 48.9 mg/L は、ドイツ硬度で 約2.7°dh。
東京の硬度の平均値 60mg/L は、ドイツ硬度で 約3.36°dh。
という感じで、ドイツ・オーストリアの硬度と比較することができます。
硬度を調べる方法あれこれ
上で、「自分がいる地域の水道水の硬度はネットで、<Wasserhärte(水の硬度)>と<調べたい都市名>と入れれば出てくる」と書きましたが、地域の硬度がまとめてわかるサイトもありますので、載せておきます。
= オーストリア & ドイツ =
※ オーストリアからアクセスした場合は、<オーストリア用サイトに移動しますか>と聞かれます。
郵便番号を入力するだけで、その地域の水の硬度が表示されます。
ただ、こちらも公的機関ではなく、硬度の高い水に対応できる製品を販売する一般企業です。
同じフランクフルト市内であっても、水源によってずいぶん硬度が変わり、日本と変わらない<軟水>と呼べるような区域もあります。
また、自分の家で地下水を利用している場合など、水の正確な硬度を知りたい場合も意外とありますよね。
そんな時は、市販の<水の硬度を測定するキット>が便利です!
リトマス試験紙の要領で、簡単に水の硬度を測定することができます(下の amazon.de から購入できます)。
“硬度”情報が必要になる場面
自分が住んでいる地域の硬度が、とりあえず最初に必要になる場面は、「洗濯用洗剤、どれぐらい入れればいいの?」という時です。
洗濯用洗剤の裏に、<水の硬度>と<洗濯物の汚れ具合>で、洗剤の量を調整するよう説明されています。
水の硬度が高くなるほど汚れが落ちにくくなるので、洗剤が多く必要になる…という感じですね。
ドイツの水の硬度の分類は、
ドイツ硬度(°dh) | |
軟水 | 8.4 °dh 未満 |
中間 | 8.4 °dh ~ 14 °dh |
硬水 | 14 °dh より上 |
となっているので、
洗濯用洗剤もそれに合わせて、<軟水 で 汚れ大 なら〇〇ml>、<硬水 で 汚れ小 ××ml>というように表示されています。
洗濯用洗剤の他にも、食器洗い機の設定なんかにも注意します。
日本の方がドイツ・オーストリアに来て早々、突然自分で食器洗い機を買うって機会もまぁないとは思うのですが(だいたい家に付いていると思うので…)、万が一自分で買うことになった場合は、水の硬度によって最初に設定が必要にあることもありますので、取扱説明書を見てみてください。
Einstellen des Wasserenthärters(水の硬度を下げる調整)などと書いてあります。
設定が間違っていると、ガラスの食器に白く石灰の跡が残ったりして(水アカ)、洗浄力が低下してしまいます。
ちなみに、ウィーンの水道水は、<10 °dh>未満と考えて設定するように推奨されているので、食器洗い機に“水の硬度を下げる調整”は必要はありません。
おわりに
ここでは、ドイツ・オーストリアの硬水と仲良くつきあっていくための第1弾として、
硬水と水の硬度、
各地域の硬度の調べ方、
自分がいる地域の硬度情報が とりあえず最初に必要になる場面
についてまとめてみましたが、実はこれは硬水と仲良くなるためのほんの入り口😮
次回からは、硬水が引き起こす様々な問題について、硬水地域に暮らす人々の知恵・常識を紹介しながら、実際的な対策法・解決策をご紹介していきます!